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トロンボーンの歴史


使用楽器


実験室




●トロンボーンの起源

 トロンボーンの起源は、直線トランペット(ナチュラル・トランペット)が、S字型トランペットになった14世紀末頃だと言われています。
 15世紀から17世紀にかけて、トロンボーンはサックバットsackbut(英)と呼ばれていました。フランス語ではサクブットsaqueboute、ドイツ語ではポザウネPosauneと呼びます。ドイツでは現在でもポザウネと言いますね。
 語源はフランス語の「剣を引き出すsacquer」ではないかと言われています。おそらく、管の長さをスライドで変えるところからこのような呼び方がされたのでしょう。
 サックバットはトロンボーンよりも管が細くてベルも小さい楽器です。ダイナミックレンジも狭いのですが素朴で柔らかい音色を持っています。

●サックバット(sackbut)

 サックバットの一番古い資料としては、1490年頃イタリア・ローマの教会に描かれた絵画がある様です。現存する最古の楽器はドイツ・ニュールンベルクのゲルマン博物館にある1551年エラスムス・シュニッツァー制作のテナー・サックバットだと言われています。
 最も古い制作者の記録は金管楽器で名高いハンス・ノイシェル2世となっています。彼はマクシミリアン1世のために楽器を製作しました。ノイシェルの肖像は王が1512年に命じて作らせた版画、『マクシンミリアン皇帝の凱旋』(1526年)の中に、王の特別の希望で描かれています。ノイシェル2世の息子のゲオルク・ノイシェルによって1557年に作られたテナー・サックバットは、現在ウィーンのルネ・クレメンスィス氏の所蔵で保管されています。
 日本には1608年ニュールンベルクのヤコブ・バウワー制作のテナー・サックバットが浜松市楽器博物館で所蔵しています。この楽器は保存状態が良く現在でも演奏可能で、明るく澄んだ音色を持っています。


●17世紀頃

 トロンボーンはルネッサンス、バロックの他の楽器と同様に種々の大きさで作られました。
 17世紀には音楽史家であり作曲家であったプレトリウスがトロンボーンをアルト(in F)、テナー(in Bb)、バス(in F,in Eb)、コントラバス(in Bb)の4種に分類し使用しています。当時ソプラノトロンボーンはあまり使われませんでしたが、18世紀になってよく使われました。
 当時テナーのBb管は最もよく使われました。コントラバスはテナーの1オクターブ下を演奏する楽器でした。
 トロンボーンは貴族の宮廷、教会、あるいは軍楽隊など、様々な場所で世俗音楽にも教会音楽にも不可欠な楽器でした。
 オペラでも特別な効果のために使用されています。代表的な例としては、ヴェルディの『オルフェオ』(1607年)があげられます。
 当時のオーケストラにも加わるようになりましたが、「聖なる神様の楽器」という役割が強く、楽曲中の神聖な場面以外では使用されず出番の少ない楽器でした。

●18世紀頃

 18世紀に入り、1740年頃により力強い音を出すためにベルが広げられました。また、従来F管だったアルトが現在と同じEb管の楽器に代わりました。 当時は特に教会音楽でコルネットと一緒に広く活躍していました。
 この頃トロンボーンはヨーロッパの多くの地域で好まれなくなってきており、イギリスではトロンボーン奏者は長い間王室の個人的な楽団の中に見られたにすぎませんでした。
 しかし、ドイツとオーストリアでは反対に、グルックの『オルフェオ』(1762年)、モーツァルトの『魔笛』(1791年)およびハイドンの『天地創造』(1798年)など有名な劇文学を題材とする音楽の中に入りながら大いに演奏され、ゲオルク・ヴァーゲンサイル(Georg Wagenseil,1715〜77年)は最も初期のトロンボーン協奏曲のひとつを書きました。

 to be continue...




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